前期 水曜1限、 後期 木曜3限
物理化学とは何か。物理と化学の混ぜ合わせのような錯覚をもつかもしれない。実はそうではなく、物理化学とは、化学の基礎となる新しい法則や原理の発見を目指して物理を用いて研究を展開する学問である。化学とは、”物質の化学変化、機能、構造をミクロからマクロスケールの様々な形態で研究し、物質を化学的に合成したり、新しい機能を開発するだけでなく、新しい物質観の形成に寄与する学問である”といえよう。いうまでもなく、化学変化は化学結合の切断と新しい化学結合の生成のプロセスであるから、化学結合理論は化学にとって、もっとも基礎的な理論である。電気的に中性な原子がどのようなメカニズムで結合するのであろうか。このなぞを解くカギは原子や分子の中の活性な電子が握っている。電子は量子の世界の化身で、物体でありながら波の性質を持っている。この波の性質を介して化学結合の原動力・分子の化学結合様式や、性質・機能、分子間相互作用を理解することができる。化学にとって、最も重要な活性な電子の波の性質は量子の世界の法則によって決定される。本講義では、量子の法則を基礎にした新しい化学結合理論をわかりやすく講述する。
アナウンス
テキスト: 基本的にはテキスト資料を配布します
その他参考書
「なっとくする量子化学」、講談社、中田宗隆著
「量子化学のすすめ」、化学同人、西本吉助著
「なっとくする量子化学」、講談社、中田宗隆著
「量子化学のすすめ」、化学同人、西本吉助著
「バーロー物理科学」、化学同人
「マッカーリ・サイモン 物理化学」、東京化学同人
成績: 出席(不定期)をとります。平常点として加点。
期末に試験を実施して、成績を評価します。
平常点30%と期末試験70%程度で成績を決定します。
授業の予定表は、進行状況により変更することがあります。目安だと考えてください。
授業のテキストは、ここからからダウンロードできます。
パスワードは授業中に言います。
パスワードは授業中に言います。
補足テキスト
・複素関数を用いて三角関数の加法・倍角定理を導出するがダウンロードできます。
日時 | 授業内容の概略 |
第1回 | 授業のガイダンス 近代化学の発展から量子化学の発展まで 理論化学・計算化学の概念と位置づけ |
第2回 | 理論化学・計算化学で何ができるかについてのプレゼンテーション シュレーディンガー方程式の導出 |
第3回 | シュレーディンガー方程式を解く(1次元系について) ボーア仮説 (修正テキスト) |
第4回 | トンネル効果を調べる(1次元系について) |
第5回 | 様々な環境におかれた電子の量子効果(角運動と調和振動子) |
第6回 | 水素原子のボーアモデル(飛ばして調整する可能性あり) |
第7回 | 水素原子の量子論 シュレーディンガー方程式からのアプローチ |
第8回 | 原子のオービタルと形状とエネルギー(遮へい効果) イオン化ポテンシャルと電子親和力の関係 原子価電子の正体 |
第9回 | ヒュッケル分子軌道計算について(LCAO近似) |
第10回 | 等核二原子分子の計算 |
第11回 | 等核二原子分子の計算の続き |
第12回 | 三原子分子の化学結合 分子を曲げる力のなぞ |
第13回 | 分子の立体構造と混成 |
第14回 | 分子軌道の軌道間相互作用と反応性 |
第15回 | 定期試験 |